日本財団 図書館


 

083-1.gif

Fig.4 Result of follow-up survey by using of fluorescent sand

083-2.gif

Fig.5 Change of cross-section nearby shoreline

バイパス工法により広い砂浜が維持できることが想定されるにいたり、天橋立海岸におけるサンドバイパス工法導入が相当と判断するにいたった。
3-2. サンドバイパス工法の実施方策の検討
天橋立海岸におけるサンドパイパス工法の実施については、以下の3つの問題点を明らかにしておく必要がある。第1はバイパス投入量とその砂の採取先、第2は望ましい汀線形状の設定、第3は汀線造成後の維持工法である。
第1の問題に関しては、当初日置および江尻両港で垣き止められた堆積砂を主たるバイパス砂として用いる計画であった。1969年から1991年にかけての両港における浚渫土砂量の実検では年平均約4,500〜4,900m3であった。しかし、年々両港に堆積する砂の量も減少し、1993年から1995年の浚渫実績では日置港で年平均1,662m3、江尻港ではすでに浚渫を行っていない状況である。それと相反するように、漂砂の連続性が確保された1984年以降に大天橋末端部の水路側に砂の堆積がみられるようになり、水路埋没の危険性も指摘されるようになった。この砂は、沿岸漂砂の終着点となる大天橋末端の突堤上手が満砂状態となり、末端部の突堤から流出した砂が突堤下手に堆積したものである、京都府は水路維持のために1987年より浚渫を行っている。ここでの浚渫土砂量は年平均3,000〜4,000m3である。そこで、バイパス砂の主たる供給源をこの大天橋末端部の浚渫砂とし、不足分を日置および江尻両船溜り施設周辺における浚渫砂で補充することに変更した。以上のように、天橋立海岸において確保できるリサイクル砂量は約4,000m3〜約6,000m3であることから、計画バイパス砂量を4,000m3/yrとした。この計画バイパス砂量の妥当性については、以後に述べる第2の問題に関する検討時で行った汀線変化の予測計算により評価している。
砂の投入時期は、海水浴および観光シーズンに配慮してシーズンオフの12月から3月に年1回行うことにした。
砂の投入位置は、関係者の協力を得て次の理由により漂砂上手側である天橋立海岸の付け根に決定した。シミュレーション等の結果、漂砂上手側である天橋立海岸の付け根付近が最も効率がよいと判断されること、および、サンドバイパス工法導入にともなう藻場への影響調査の結果、藻場の質的な変化は若干あるものの、藻場生態そのものへの影響は小さいと評価されたことによる。ただし、砂の投入は海域環境への影響に配意して行うことにした。投入方法は、海域の濁りを極力抑えるために、海域への直接投入は行わないこととし、陸上投入後ブルドーザにより海側への押し出しを行い整地する工法を採用した。
第2の問題に関しては、前述した汀線変化モデルを用いて、投入砂量、投入位置および投入頻度等の組合せを変えた7つの案に対して汀線変化の予測計算を行い、評価した。計算結果の一例を、図-6に示す。バイパス砂量は0〜12,000m3/yrとし、投入位置は図-6中の突堤No.1〜20の間で3〜7スパンの組合せとし、投入頻度は1〜5年を想定した。図-6を含めた7つの方策案に関する数値計算によって以下のことが明らかになった。?投入点からかなり離れた突堤No.32〜50では投入砂量、投入方法の変化による汀線の変動はほとんどなく、安定した汀線形状となるのに対して、投入点に近い突堤No.9〜24では汀線の変動が大きくなり、投入砂量や投入方法等の境界条件の影響を受けやすい。?バイパス砂量が多いほど汀線は前進した状態で安定する。?バイパス砂を毎年投入する案と隔年あるいはそれ以上の間隔をあけて投入する実とでは後者の方が突堤間内砂量の変動が大きく汀線変化も大きくなる。?バイパス砂量4,000m3/yrの場合、大天橋中央部に設置されている人工漁礁ならびに藻場への影響がないと判断されるのに対して、バイパス

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION